ドローンによる12条点検は国土交通省が認める外壁調査の手法!

その一つが、建築基準法第12条に基づく定期点検、いわゆる「12条点検」におけるドローンの活用です。

ドローン赤外線外壁調査による12条点検は、足場なしで低コストに調査ができ、定期点検と修繕工事のタイミングを柔軟に調整できるため、建物の長期的な維持管理においても大きなメリットがあります。

この記事では、外壁調査事業を展開している『ドローンメイト』が、ドローンを活用した12条点検のメリットや他の手法との違いについて解説します。

最新の技術を活用して、低コストに建物管理を目指す方は、ぜひご覧ください。

目次

外壁調査における12条点検とは?

ドローン外壁調査で打診を併用する調査員

建築基準法第12条では、特定建築物の所有者は建物の構造や設備について定期的に調査を行い、その結果を報告することが定められています。

第十二条
第六条第一項第一号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(国、都道府県及び建築主事を置く市町村が所有し、又は管理する建築物(以下この項及び第三項において「国等の建築物」という。)を除く。)及び当該政令で定めるもの以外の特定建築物(同号に掲げる建築物その他政令で定める建築物をいう。以下この条において同じ。)で特定行政庁が指定するもの(国等の建築物を除く。)の所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者。第三項において同じ。)は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者(次項及び次条第三項において「建築物調査員」という。)にその状況の調査(これらの建築物の敷地及び構造についての損傷、腐食その他の劣化の状況の点検を含み、これらの建築物の建築設備及び防火戸その他の政令で定める防火設備(以下「建築設備等」という。)についての第三項の検査を除く。)をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。

建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)

この定期的な点検を12条点検と呼び、一級建築士・二級建築士・建築物調査員の有資格者が調査を実施します。

外壁の調査については主に2つの周期の定期報告があります。

調査の周期調査範囲調査内容
3年に1度手の届く範囲・手の届く範囲の打診
・双眼鏡などで目視
10年に1度外壁全面・赤外線調査で外壁の全面
・もしくは足場を組んで全面打診+改修

3年に1度の定期調査は、地上やベランダからの手の届く範囲をテストハンマー等で調査して、異常があるばあい全面打診等を行います。

この全面打診等には赤外線法も含まれています。赤外線調査に関するメリットやデメリットはこちらの記事で解説しています。

10年に1度外壁の全面点検が必要

竣工後または外壁改修から10年を超え、最初に実施する定期調査の報告は、3年以内に実施した全面調査の結果を報告する必要があります。

以下の表は定期報告の周期のイメージです。(特定建築物定期調査業務基準2021改訂版を参考)

竣工1年2年3年4年5年6年7年8年9年10年11年12年
〇3年に1度の手の届く範囲の調査   ★赤外線で全面調査を実施  ●3年以内の★の結果を報告

ただし、例外があり3年以内に大規模改修を確実に行う場合、又は、タイルが落下した際の飛散防止ネットの設置など歩行者の安全対策がされている場合は例外となります。

国交省もドローンでの12条点検を推進

国土交通省の外観

ドローンによる赤外線調査は国に認められた調査方法です。

令和3年に行われた成長戦略実施計画において、ドローンによる赤外線調査が一級建築士による打診調査と同等以上の精度を確認できたなら、令和4年から定期報告の外壁調査で使用可能すると審議されました。

そして、国土国土技術製作総合研究所と国立研究科発法人研究所でテストが行われ、一定のルールを守って調査すれば打診調査と同等以上の精度で浮きが検出できると分かりました。

今般、成長戦略実施計画(令和3年6月 18 日閣議決定)において、「外壁調査を行う赤外線装置 を搭載したドローンについて、残された課題の検証を本年度に行う。一級建築士等による打診調査 と同等以上の精度を確認の上、制度改正を行い、来年度以降、建築物の定期検査における外壁調査で 使用可能とする。」こととされた。
国土技術政策総合研究所及び国立研究開発法人建築研究所の協力のもと、平成 29~30 年度建築基 準整備促進事業等において検討を行った結果、一定の実施要領に則れば、赤外線装置を搭載した無 人航空機による調査によりテストハンマーによる打診と同等以上の精度で浮きを検出することが可 能であることが判明したため、打診以外の調査方法として、無人航空機による赤外線調査を明確化 することとした。

建築基準法施行規則の一部を改正する省令等の施行について(技術的助言)

そして2022年4月1日、建築基準法施行規則の改正により定期報告における外壁の調査方法について、ドローンによる赤外線調査が正式に認められました。

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出典:国土交通省告示第百十号

12条点検でドローンが調査できる劣化現象

外壁調査を行っているドローン

以下の表はドローンで調査できる劣化現象(または初期不良)の一覧表です。

赤外線カメラ可視光カメラ
・浮き
・水分滞留
・ジャンカ
・コールドジョイント
・クラック
・ふくれ
・爆裂
・欠損
・剥離
・白華現象
・錆汁
・シーリングの破断等
可視光カメラ=スマホのカメラのような人間の目で見える可視光を撮影するカメラ

タイルやモルタルの浮き

外壁の浮き部の劣化進行の図
浮きは最終的に剥落して事故につながる恐れがある

浮きとはコンクリート躯体・下地モルタル・仕上げ材の間に隙間ができる劣化現象です。時間が経過すると範囲は大きくなり、やがて剥落します。

浮きは人間の目で見つけることは困難ですが、ドローンの赤外線カメラなら可視化できます。以下の画像はドローンで撮影した画像です。

浮きの赤外線画像と可視光画像
左:赤外線カメラ 右:可視光カメラ

右の可視光カメラの画像は一見すると問題ないように見えますが、左の赤外線画像では浮きの箇所が赤色(高温)で表示されています。(打診棒で2重チェックしたところ、この赤い色の箇所は浮きでした。)

ドローンによる赤外線調査では、人間の目で分からない浮きを検出でき、おおよその面積の算出もできるため、その後の改修をする際の判断材料にもなります。

構造クラックやヘアクラック

弊社が使用する産業用ドローンMATRICE30Tは、構造クラックやヘアクラックを確認できます。

建物に対して5m~15mの位置から、4800万画素で16倍光学式ズームで撮影できるため、地上からでは見えないひび割れもキレイに見えます。

以下は建物の塔屋を約10mくらい離れた距離から撮影した画像です。

クラックの可視画像
左:ワイド画像 右:zoom画像

右のズーム画像を見ると、細かなヘアクラックも確認できています。

ドローンでは構造クラックやヘアクラックを確認でき、おおよその長さを算出できるため、改修の際の予算も立てやすくなります。

ドローンで12条点検を行うメリット

ドローンが外壁調査をしている画像

12条点検でドローンを利用するメリットは以下の通りです。

  • 調査コストの削減
  • 改修予算の把握に使える
  • 修繕の周期を調整できる

メリットその①調査コストの削減

ドローンは足場、ゴンドラ、ロープアクセスと比べて低コストで調査が可能です。また、同価格帯の地上赤外線と比較してもプラスでクラックも調査できるため、コストパフォーマンスに優れています。

ドローンでの12条点検は、足場やゴンドラや高所作業車などの仮設費用がかからず、2~4名で高層マンションを1~2日で調査できるため人工も少額です。

とくに高い建物ほど費用対効果が高くなり、面積が増えるほど1平米あたりの単価が下がるため、コストパフォーマンスに優れた調査法といえるでしょう。

外壁診断費用に関する調査」では、RC地上11階建(延べ床面積5,887㎡、外壁面積(3,300㎡)の建物にかかるマンションの外壁診断費用を160社を対象にアンケート調査しました。

そのうち回答があった19社の打診調査の外壁1㎡あたりの単価は以下の通りになりました。

内訳調査費用
総費用(直接費+仮設費+諸経費)156~5177円/㎡
(中央値1299円/㎡)
直接費用(打診を行う費用)100~793円/㎡
(中央値412円/㎡)
仮設費はブランコ、高所作業車、ゴンドラ、本足場など

ドローン外壁調査の1㎡あたりの価格は、報告書作成を含めた総費用は200円~400円(中央値300円)程度ですので、打診調査の総費用の中央値1299円/㎡と比較すると約4分の1以下で調査できるということになります。

ドローンは仮設工事がないため、従来の手法と比較して低コストに外壁の全面調査を行うことができます。

ドローン外壁調査の費用や相場についてはこちらで解説しています。

メリットその②大規模改修の周期を調整できる

これまで10年に1度の外壁の全面点検は、大規模修繕が行われる12年周期のタイミングで行うのが一般的でした。

その理由は、仮設工事を行うタイミングで同時に補修工事を行わないと仮設費がもったいないからです。

しかし、ドローンの登場により足場を立てずに外壁の全面調査ができるため、大規模改修のタイミングを調整しやすくなります。

竣工…9年10年11年12年13年14年15年
ドローン
従来
〇3年に1度の手の届く範囲の調査   ★赤外線で全面調査を実施  ●ドローン調査の結果を報告 ■改修工事

たとえば60年のあいだに12年周期で改修工事を行う場合、工事回数は5回ですが15年周期であれば4回になります。

一回の修繕工事は数千万~億単位の積立金を必要とするため、この1回の差でコスト削減につながります。

ドローンで全面調査と改修工事を分離して考えることができるのは大きなメリットです。

メリットその③実数積算がより正確に

大規模改修を行う際は実数積算方式といって、手の届く範囲で打診調査を行い経過年数などを考慮して足場を立てる前におおよその予算を立てます。

その後、足場を組んで全面打診を行い詳細見積もりを出すのですが、想定した金額よりも多い場合が多々あるそうです。

マンションの大規模修繕工事における工事中の変動要素の取り扱いに関する調査結果」によると48社中21社が「工事契約金額から追加精算になることが多い」と回答しています。

しかし、ドローンを活用すればより正確な見積もりを求められます。

なぜならドローンを導入すれば工事価格が変動しやすい浮きやクラックの数量を事前にある程度把握できるからです。

以下は最終的に変動しやすい工事項目をまとめた表です。

実数清算と詳細見積で差が出やすい補修項目

タイルの張り替えや構造クラックが最も工事費用が変動しやすい要素ですが、ドローンではこれらの劣化の数量を求めることが可能です。

弊社のドローン外壁調査では、クラックの長さや浮きの枚数・面積等を算出して報告書に記載しています。(報告書のサンプル)

劣化数量計算

ドローンですべてのクラックや浮きを100%完璧に調査することは不可能ですが、それでも積算のお役に立てるはずです。

ドローンで12条点検を導入する際のよくある質問

ドローンの報告書を作成・提出するのにどれくらいの期間がかかりますか?

弊社は事前調査なども含めて、最短2週間程度で作成可能です。しかし、天候や建物の規模にも影響を受けますので、1ヶ月~2ヶ月かかるとみておくことをおすすめします。

定期報告を専門としている一級建築士は1週間程度で報告書まで提出しますので、”よーいドン”でドローン外壁調査と建築士が特定建築物の調査を同時に行った場合、先に報告書が完成するのは建築士です。

ドローン外壁調査の精度はどれくらいですか?

国交省はドローンによる赤外線調査を一級建築士による打診と同等以上の精度と位置付けています。

ただし、赤外線カメラは温度上昇を伴う浮きのみを検出するため、接着面が弱まった空隙がない箇所(0.2mm以下の浮き)は検出できない可能性がございます。(打診で叩くとキンキンと高い音がなるような浮き)

定期報告の浮きの調査に関しては、剥落リスクの高い箇所と改修の緊急性の調査が主な目的となります。剥落リスクのある浮きは、範囲が50cm角程度の空隙を伴うためガイドライン従った赤外線調査方法であれば十分に検出可能です。

赤外線と打診の精度比較については「ドローン外壁調査の精度はどのくらい?赤外線法と打診法の比較実験における検出精度」で解説しています。

地上赤外線法とドローンの違いは何ですか?

もっとも大きく違う点は、ドローンはクラックを撮影できる点です。また、地上撮影法は高い建物ほど調査が困難になりますが、ドローンは高さの影響を受けずに同じ角度・同じ距離から撮影できるため高層マンション等が得意です。

12条点検に対応!ドローン外壁調査はドローンメイトにお任せください

12条点検は、タイルの剥落事故を未然に防ぎ、建物の維持保全を目的とした点検です。

これまで足場や高所作業車が必要だった高層マンションが、高性能な赤外線カメラ・可視光カメラを搭載したドローンで調査出来るようになりました。

ドローンメイトは、ドローンの国家資格取得と赤外線の資格をもつ調査員が、一級建築士事務所と協力して特定建築物の12条点検を行います。

数百枚~数千枚の膨大な画像から報告書を作成して提出いたします。

12条点検でドローン赤外線外壁調査をご検討中であれば、無料で概算見積もりを作成しますのでお気軽にご相談ください。

外壁を撮影しているドローン
外壁調査報告書サンプル
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