ドローン外壁調査は、仮設足場による打診調査の10分の1以下、ゴンドラの約4分の1以下の費用で、外壁の全面調査が可能です。

ドローン外壁調査の費用は、1㎡あたり200円~400円が相場ですが、建物の大きさや形状によって変動します。 この記事では、調査を検討する際に多くの方が抱く、次のような疑問について解説します。
「うちの建物くらいの規模だと、費用はどのくらい?」
「遠方の業者に依頼すると費用は高くなるのか?」
この記事をお読みいただければ、ご自身の建物で調査を行う際のおおよその費用感を把握できるはずです。
ドローン外壁調査の費用はいくら?
ドローンによる外壁調査の費用は、調査面積1㎡あたり250~400円程度が相場になります。
建物の規模や形状、仕上げ材の種類、調査内容によって費用は異なるので、詳細は見積依頼が必要です。概算見積は無料で行っている業者が多いので、気になる方は見積を依頼ください。
調査費用が1㎡あたり100円~といった低単価な表示は、コンクリート打ちっぱなしやALCの水漏れ調査等、赤外線調査の難易度な低い仕上げ材の場合が多いと思います。
仕上げ材 | 費用目安 |
モルタルやタイル貼り | 250円~400円程度 |
コンクリート打放し ALCの水漏れ調査等 (赤外線調査に時間がかからない建物) | 200円以下 |
ちなみに、打診調査は1㎡あたりの単価に加えて別途で報告書作成費用が10万円程度かかる場合が多いですが、赤外線調査は平米単価に報告書の作成費用が含まれている場合が多いです。
建物の規模ごとの費用の目安
1㎡あたりの単価ではイメージがつきにくい方も多いと思いますので、建物の規模ごとに調査費用がどのくらいになるのかその目安を算出しました。
マンションやビル | 5階建30戸 調査面積1,800㎡ 費用目安45~72万 | 8階建50戸 調査面積3,500㎡ 費用目安88~140万 | 12階建200戸 調査面積6,000㎡ 費用目安150~240万 |
学校 | 2階建(2~3棟) 調査面積1,500㎡ 費用目安38~60万 | 3階建(2~3棟) 調査面積3,800㎡ 費用目安95~152万 | 複数棟まとめて 調査面積8,000 費用目安200~320万 |
病院 | 4階建 調査面積2,000㎡ 50~80万 | 6階建 調査面積4,000㎡ 100~160万 | 10階建 調査面積9,000㎡ 225~360万 |
福祉施設や向上 | 2階建 調査面積1,500㎡ 38~60万 | 2階建(2棟) 調査面積3,000㎡ 75~120万 | 5階建 調査面積5,000㎡ 125~200万 |
「思ったよりも調査に費用がかかるな」と思った方も多いと思いますが、業者によっては調査面積が大きいほど1㎡あたりの単価が下がる傾向がありますので、大きい面積の場合割安になります。
マンション・オフィスビルの価格の傾向
マンションやオフィスなどの高さのある建築物はドローン外壁調査の相性が非常に良い建物です。以下の条件で調査費用が変動しますので、調査する物件に当てはめてください。
建物の条件 | 調査費用が安い傾向 | 調査費用が高い傾向 |
---|---|---|
建物の高さ | 高層になるほど、足場による打診等と比べて割安に | 低層になるほどドローンのメリットが小さくなりやや割高に |
タイルの色 | ベージュ系、黒系は日射により外壁が温まりやすいため解析時間が短く割安に | 白系は外壁が温まりにくいため、浮きが確認しにくいた高い傾向に |
タイルの艶の有無 | 艶の無いタイルは解析時間が短く割安に | 光沢が強いタイルは撮影枚数も撮影回数も増え、解析に時間がかかるため高い傾向に |
撮影スペース | 敷地が広いほど適切な距離で撮影できるため安い | 建物が密集している都心部等は撮影距離が確保できず、安全管理費も増えるため高い傾向に |
小学校・中学校の価格の傾向
小学校や団地などのモルタル仕上げの規模の大きい建物は、打診よりもドローンによる赤外線調査の方が低コストに全面調査ができます。
建物の条件 | 調査費用が安い傾向 | 調査費用が高い傾向 |
---|---|---|
形状が複雑 | シンプルな形状は安い傾向に | コの字、ロの字、入隅出隅が多い場合、撮影難易度が上がるため高く |
調査の範囲を広く | 赤外線調査範囲が広いほど単価は下がるため割安の傾向に | 一部だけ赤外線調査でも工程数は変わらないため割高に |
打診も依頼 | ‐ | 赤外線調査の合間に打診調査ができるため時間は削減できるがやや費用は高く |
ドローン目視も依頼 | ‐ | ドローンによる目視は報告書まで作るとやや割高に、地上からの間接目視の方が割安 |
学校施設の全面調査はあらかじめ赤外線調査の範囲が指定されている案件と指定されてない案件があります。
基本的に赤外線調査を広い面積でやったほうが全体の調査費用は安くなる傾向にありますが、精度面との兼ね合いもあると思います。
どこを赤外線調査でやればいいのか分からない場合はご相談ください。
福祉施設の価格の傾向
老人ホームのドローン外壁調査の費用の変動要素は以下の通りです。
建物の条件 | 調査費用が安い傾向 | 調査費用が高い傾向 |
---|---|---|
建物の高さ | 3階建以上はドローンで調査するメリットがある | 1階~2階建で広い面積の場合、ドローン外壁調査には不向き |
建物の形状 | 一直線上のシンプルな形状は安い傾向に | 王の字型、ロの字型、Hの字型等の複雑な形状は高い傾向に |
タイルの艶の有無 | 艶の無いタイルは解析時間が短く割安に | 光沢が強いタイルは撮影枚数も撮影回数も増え、解析に時間がかかるため高い傾向に |
建物が形状が複雑、2階建て、植栽が多いといった建物の場合、太陽の日射が外壁に当たらないため、赤外線調査が向いていないケースもあります。
以前に上記物件の相談があったときは、赤外線では精度が出にくいので、2連梯子による打診調査を提案し、最終的に打診調査で実施しました。
ドローン外壁調査の価格に影響する2大要素
ドローンによる外壁調査の費用は、様々な要因によって変わります。ここでは価格に関係性の強い要素について解説します。
調査面積の大小
打診調査は、調査面積が広くなるほど人手と時間がかかるため、費用も比例して増加する傾向があります。一方、赤外線調査はドローンで効率的に広範囲を撮影できるため、調査面積が広くなっても費用の増加は比較的緩やかです。
業者によっては調査する面積が大きいほどドローン外壁調査の費用は割安になります。ドローンメイトの調査費用では1,000㎡と8,000㎡では1㎡当たりの単価が40%以上安くなります。
調査面積が大きくなるほど割安になる理由は以下の通りです。
- 調査面積が広くても撮影は1日~2日で終わる
- 建物の浮きの傾向が分かると解析作業が大幅に早くなるため
ドローンによる赤外線調査でもっとも工数がかかるのは、赤外線画像の解析です。調査面積が広いと浮きの傾向が分かると残りの解析時間も短くなるため、調査面積が大きいほど単価が下がる傾向にあります。
調査内容
ドローン外壁調査は調査内容によって調査費用が異なります。以下は調査費用の必要性についてまとめた表です。
法定点検(行政に提出用) | 大規模修繕前の劣化状況確認 | |
赤外線調査 (浮き、水分滞留) | ◎ | 〇 |
目視調査 (ひび割れ、欠損、剥落、白華現象等) | △ | 〇 |
劣化数量の算出 | × | 〇 |
一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員の同行 | ◎ | × |
〇目的によっては実施することが多く、推奨される項目。
△条件次第では省略可能な項目。必要性は限定的。
×不要な場合が多い項目。
打診調査では、タイル浮き枚数や面積を算出するのが普通ですが、赤外線は「劣化数量の算出」は追加費用が必要な場合が多いです。
定期報告では劣化数量は不要ですが、大規模修繕に向けての現況把握といった目的であった場合、数量があった方が改修費用の予測が立てやすくなります。
調査目的に合わせた調査内容にすることでコストを抑えて調査を実施できます。
地元業者と遠方業者はどちらが安い?
調査物件から近い地元業者と、遠く離れた遠方業者どちらに依頼するべきか。例えば「大阪の建物を調査するのに、関東や九州の業者に依頼するのは高くつくのか」といった疑問について解説します。
弊社は、九州を拠点に調査を行っていますが、関東地方の建物調査依頼もよくあります。その経験を踏まえたうえでの結論は以下の通りです。
- 調査面積が1,000㎡以下(小規模の建物)は地元業者に
- 調査面積が3,000㎡以上(中規模以上の建物)は遠方業者も〇
遠方業者は交通費・滞在費用が上乗せになる
遠方の建物を調査するには、高速代+ガソリン代+調査員の人数分の宿泊費がかかります。
2日で調査が完了すると仮定した場合、例えば福岡から福岡・東京の物件を調査する旅費交通費は以下の通りです。
旅費交通費 | |
大阪 | 高速代18,680円+ガソリン代8656円+車両費3,666円+宿泊費32,000円=63,002円 |
東京 | 高速代32,460円+ガソリン代15,357円+車両費6,504円+宿泊費32,000円=86,321円 |
また、気象によって撮影が中止に場合は、滞在費が増えるため少し余裕をもって計算したりします。
遠方の業者に依頼すると交通費・滞在費用が追加で必要になりますので、地元の業者に比べてやや調査価格が高くなります。
調査面積が大きいと遠方業者でも割安に
調査規模が大きい場合は、旅費や交通費が全体に占める割合が小さくなるため、費用への影響は小さくなります。
このため、業者ごとの単価差のほうがコストに与える影響が大きくなり、必ずしも地元業者が安価とは限りません。
実際に、調査規模に応じて旅費・交通費(例:86,321円)を加算した場合の費用を比較してみましょう。
5階建 調査面積1,000㎡ | 8階建 調査面積3,500㎡ | 12階建 調査面積6,000㎡ | |
調査費用 | 400,000円 (1㎡あたり400円) | 910,000円 (1㎡あたり260円) | 1,320,000円 (1㎡あたり220) |
調査費用+旅費交通費 | 486,321円 (1㎡あたり486円) | 996,321円 (1㎡あたり285円) | 1,406,321円 (1㎡あたり234円) |
建物の規模が大きい場合は、旅費や交通費を含めても1㎡あたりの単価に大きな差は出にくく、むしろ業者ごとの設定単価の違いの方がコストに大きく影響するでしょう。
一方で、小規模な建物では、旅費交通費の占める割合が相対的に大きくなるため、近隣の業者に依頼した方がトータルコストを抑えられるケースが多いでしょう。
ドローン外壁調査にかかる費用の項目
ドローン外壁調査にかかる項目は以下の通りです。
- 国土交通省関係機関への飛行許可の個別申請
- 事前通知書の配布
- 道路使用許可の申請
- 事前調査
- ドローン飛行計画書の作成
- 赤外線調査計画書の作成
- ドローン操縦士、補助者、交通誘導員
- 機器損料(ドローン、バッテリー)
- 赤外線カメラ・可視カメラによる撮影
- 打診調査、外観目視調査
- 赤外線画像の解析
- 赤外線画像台帳の作成
- 劣化数量の算出
- 報告書作成
事前通知の配布やドローンの飛行などは、比較的イメージしやすい工程ですが、赤外線画像の解析となると「実際に何をするのか分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、費用の中でも大きな割合を占めるにもかかわらず、あまり知られていない赤外線画像の解析から報告書作成について解説していきます。
赤外線画像の解析
ドローン外壁調査は現地での撮影が1日~2日程度で終わることも多いですが、実は撮影したあとの熱画像の解析がメインです。
熱画像の解析は経験を積んだ赤外線の有資格者が担当します。(当社は赤外線建物診断技能師)
以下の画像のように、別の時間帯や別角度の画像を見比べて、温度を確認しながら浮き・水分滞留を判定します。

熱画像の解析にかかる時間は経験の浅いもので1時間に3枚~5枚、熟練者で10枚程度。
300枚の熱画像を解析するのに1日8時間作業するとして経験の浅い人で10日間、熟練者で3日間かかります。
「AIで自動的にすぐ終わるのでは?」と思われるかもしれませんが、赤外線調査はそう単純ではありません。建物の形状や仕上げ材、日射の角度・量、湿度や気温、さらには前日の天候までもが熱データに影響を与えます。
そのため、すべての条件を網羅したサンプルデータを取得することは現実的に難しく、最終的な判断には専門的な知識と人の目による解析が必要です。
報告書の作成
解析した赤外線画像を台帳(画像左下)に貼り付けて、浮きの可能性がある箇所を温度分布などから示します。また、劣化を判断した理由や根拠について明記します。


その他の報告書のサンプル画像はこちら
これらの台帳に記録された損傷箇所をもとに、劣化分布図(画像右上)を作成し、最終的な報告書に反映させていきます。
報告書には、含まれる内容は以下の通りです。
①建築物概要(建築物名、所在地、構造・階数、竣工年、仕上げ材の概要、補修歴)
定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査 ガイドライン
②調査実施体制(調査会社名、調査責任者名等、資格等)
③調査実施日、調査時の天候及び環境条件
④赤外線装置の仕様・性能
⑤調査対象の外壁面のうちドローンによる赤外線調査を実施した箇所及びその他の方法で
調査を実施した箇所
⑥調査時の適用条件に関するチェックリスト
⑦打診との併用による確認を実施した範囲、結果の明示
⑧浮きと判定した箇所を明示した外壁調査結果図
⑨熱画像及び可視画像
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ドローンメイトは、低コストで調査を実施できるように業務効率化に努めています。
これまでマンション、オフィスビル、庁舎、学校、病院、福祉施設など、多種多様な建物の調査を手がけてまいりました。建物の規模や形状、立地条件に合わせた最適な調査方法をご提案します。
福岡を拠点としていますが、遠方の調査実績もございます。ドローン外壁調査の費用が気になる方や検討中の方は御見積をご依頼ください。