タイル外壁はメンテナンス不要で耐久性が高いイメージがありますが、シーリングやタイルの内側では劣化が起きるため、定期的な外壁調査や補修が必要です。
この記事では、外壁調査事業を展開している『ドローンメイト』が、30年後のタイル外壁の劣化状況の実例について解説します。
外壁タイルのメンテナンスの重要性を理解し、適切な対応を取ることで、住まいの価値を保ち続けることができるでしょう。
マンションの外壁タイルの耐用年数は?
外壁タイルの耐用年数
外壁材の種類 | 耐用年数の目安 |
---|---|
窯業系サイディング | 30年 |
モルタル | 30年 |
外壁タイル | 耐用年数なし |
外壁タイルは、土や石等の自然素材を1000度以上の高温で焼き固めているためほとんど劣化しません。
紀元前14世紀ごろにツタンカーメン王のマスクにもタイルが使用されていることからも、その高い耐久性がうかがえます。
雨風や紫外線に強く10年~30年経ってもほとんど劣化せず、雨水で汚れが流れ落ちやすく、美観も損なわれにくいため、メンテナンスフリーな仕上げ材です。
ただし、外壁タイルの目地やシーリング等の材料の耐用年数は10年前後が目安です。
外壁は適切なメンテナスが必要
タイル自体はメンテナンスフリーですが、外壁には定期的なメンテナンスが必要です。
外壁の継ぎ目のシーリング材の耐用年数は比較的に短く、一般的に10年前後ほどで打ち換えが必要とされます。
また、コンクリートと貼りつけモルタルの間に隙間ができる”浮き”、タイルとコンクリートなどの素材同士の収縮率の違いから発生する”クラック”等の補修も必要です。
マンションなどの外壁タイル張りの建築物は、10年に一度の外壁の全面調査が義務化されており、劣化が著しい場合は補修します。
タイル自体は、メンテナンスは不要ですが、タイルを貼る外壁はモルタル仕上げと同様に定期的な調査と補修が必要です。
竣工から30年後の外壁タイルの劣化状況の実例
当社ドローンメイトが実際に28年の集合建物の外壁劣化を調査した事例を紹介します。
タイル自体はほぼ劣化はなし
外観は非常にきれいでタイル自体は劣化なく、上の画像のように一部タイルのひび割れや欠損があったものの、約30年経ってもあまり経年劣化は感じられませんでした。
モルタル仕上げのばあい、30年も経つと汚れが目立ち美観が損なわれがちですが、タイル仕上げは30年経ってもやはり美しいです。
外壁の美観はマンションの第一印象を決定づけます。社会的劣化や陳腐化は、入居率に直接影響するので汚れに強いのは大きなメリットです。
肉眼では見えない浮きや水分滞留の劣化が進行
下の画像は赤外線カメラで撮影した画像です。赤外線カメラでは肉眼で確認できない浮きや水分滞留を可視化できます。
白線付近の赤色の箇所は外壁が浮いており、広範囲の箇所はタイルの張り替えやエポキシ樹脂の注入等の修繕が必要な箇所です。
赤線内の青色の箇所は水分が滞留しています。シーリング付近から下に垂れる形で青色分布が表示されているので、シーリング劣化と思われます。
一見すると劣化が少ない外壁でしたが、赤外線画像を見るとかなり劣化が目立ちます。
赤外線調査についてはこちらの記事で解説しています。
外壁タイルの劣化を防ぐにはメンテナンスが必要
10年ごとの外壁の全面調査を実施する
タイルは30年経っても劣化はほぼ見られませんが、浮き、クラック、シーリングの破断等の劣化を放置すると水分が建物に入り、コンクリートの中性化が進み鉄筋を腐食させます。
外壁タイルの劣化を防ぐためには、定期的なメンテナンスが不可欠ですが、その中でも特に重要なのが、10年ごとの外壁の全面調査です。
建築基準法第12条により、特定建築物に該当するマンションや病院、介護施設などの特定建築物は定期的な報告が義務付けられており、赤外線調査や足場を組んでの全面打診が義務付けられています。
これを遵守し、外壁を定期的に調査・修繕することにより外壁タイルの健全性は保たれます。
外壁調査を怠ると、目に見えない劣化が進行し、修繕コストが膨らむだけでなく、建物の安全性や美観にも悪影響を及ぼします。
10年に1度の外壁の全面打診調査についてはこちらで解説しています。
劣化が経度のうちに補修すれば工事費を抑えられる
外壁の劣化が軽度な場合、すぐに事故や建物の強度を下げることはありませんが、早期に適切な補修を行うことで、工事費用を抑えられます。
たとえば、外壁のクラックを放置すれば、雨水や空気が侵入してコンクリートの中性化が進み内部の鉄筋が錆て膨張し、やがて鉄筋周辺のコンクリートが押し出されて爆裂となります。
爆裂が進行すると大掛かりな補修が必要になるため、出来るだけ早めの対応が必要です。
以下は国交省の国土交通省・持続可能社会における既存共同住宅ストックの再生に向けた勉強会の資料です。
1戸当たりの外壁タイルの改修工事の費用が軽度と中度では3倍以上、重度では5倍以上の差があります。
定期的な調査と補修を実施することにより、建物の工事費を抑えられます。
外壁タイルのメンテナンスで30年後も安心して住めるマンションへ
タイル自体は耐久性が高くメンテナンスが不要ですが、外壁のシーリングやクラック、浮きなどの劣化現象には定期的な対応が必要です。
10年ごとに外壁の全面調査や補修を行うことで、外壁の劣化を早期に発見し、補修を行えば、外壁タイルの耐久性を高め建物の維持保全が実現できます。
ドローンメイトでは、最新のドローン技術を活用した外壁調査サービスを提供しています。ドローンによる赤外線外壁調査は、低コスト・短工期で外壁の全面調査が可能です。
外壁タイルの全面調査をご検討中の方は、無料で概算見積りを作成しますので、お気軽にドローンメイトにご相談ください。