外壁診断とは?費用・調査方法・調査内容を解説

外壁診断

マンションやビルなどの外壁には、経年劣化によってタイルやモルタルの浮き、ひび割れ、欠損などが発生します。外観に異常が見られなくても、内部で浮きが進行している場合があり、放置すると外壁材の剥落につながる可能性があります。

外壁診断では、目視調査・打診調査・赤外線調査などを用いて劣化の位置や範囲を確認し、補修工事や維持保全計画に必要な情報を整理します。

本記事では、外壁診断で確認する主な劣化、調査方法、費用相場、実施時期について、国土交通省の資料や外壁診断に関するマニュアルをもとに解説します。

外壁診断とは

外壁診断を行う主な目的は、タイルやモルタルなどの外装仕上げ材の剥落事故を防ぎ、補修が必要な範囲を把握することです。

外壁タイルは、下地との接着部分に隙間が生じることで「浮き」が発生します。初期の浮きは外観だけでは確認しにくいものの、劣化が進むと浮きの範囲が拡大し、タイルや下地モルタルの剥落につながる可能性があります。

外壁タイルが健全な状態から浮き、浮きの拡大、剥落に至る過程

そのため、目視調査だけでなく、打診調査や赤外線調査を用いて、外観からは見えない浮きの有無や範囲を確認します。ただし、浮きが確認された箇所が直ちに剥落するとは限らないため、浮きの範囲や形状、ひび割れ・膨れなどの周辺症状も含めて判断することが重要です。

調査で確認した劣化の位置・範囲・数量を損傷図や画像台帳に整理することで、緊急対応の必要性、補修範囲、改修工事の実施時期や予算を検討できます。外壁診断は、剥落事故の予防と修繕計画の作成に必要な情報を得るために行われます。

外壁診断で調査する主な劣化

公益社団法人ロングライフビル推進協会(BELCA)が発行する『タイル外壁及びモルタル塗り外壁定期的診断マニュアル(第4版)』(p21)では、外壁診断で確認する劣化現象として、次の10項目が示されています。

①剥落、②欠損、③白華現象(エフロレッセンス)、④ひび割れ、⑤錆水の付着、⑥ふくれ、⑦浮き、⑧汚れ、⑨漏水、⑩その他

これらの劣化は外観から確認できるものだけでなく、タイルやモルタルの内部に発生し、目視では確認しにくいものもあります。

浮き

浮きとは、コンクリート躯体・下地モルタル・張付けモルタル・タイルなどの接着部分に隙間が生じた状態です。初期の浮きは外観に変化が現れないことも多く、目視だけでは確認できない場合が多いです。

浮きが進行すると、外壁表面にふくれやが現れ、最終的にタイルやモルタルが剥落する可能性があります。ただし、確認された浮きがすべて直ちに剥落するわけではなく、浮きの範囲や形状、周辺に生じているひび割れなどを含めて状態を確認する必要があります。

打診調査と赤外線調査で外壁タイルの浮きを確認している画像

浮きは、0.25㎡未満か0.25㎡以上、モルタル浮きかタイル浮きかで工法が変わる

ひび割れ

ひび割れは、コンクリートやモルタル、タイル、目地などに亀裂が生じた状態です。乾燥収縮や温度変化、建物の動き、鉄筋の腐食など、さまざまな原因によって発生します。

ひび割れから雨水が浸入すると、内部の鉄筋腐食や仕上げ材の浮きにつながる可能性があります。ただし、すべてのひび割れが直ちに危険というわけではありません。診断では、ひび割れの幅・長さ・方向・位置を記録し、錆水の付着や白華、浮きなどの劣化が周辺に生じていないかを確認します。

ひび割れは主に目視で確認し、必要に応じてクラックスケールで幅を測定します。

剥落・欠損(爆裂・鉄筋露出)

剥落とは、タイルやモルタル、コンクリートなどの外壁材が下地から剥がれ落ちた状態です。欠損は、外壁材の一部が失われている状態を指します。どちらも外壁材が落下する、またはすでに落下しているため、歩行者や車両に被害を与えるおそれがあります。

爆裂
塩害による爆裂

コンクリート内部に雨水などが浸入して鉄筋が腐食すると、鉄筋に生じた錆が膨張し、周囲のコンクリートを押し出します。これにより、ひび割れやふくれ、欠損が発生する現象が一般に「爆裂」と呼ばれます。劣化が進行するとコンクリートが剥落し、内部の鉄筋が露出する場合があります。

外壁診断の主な方法

外壁診断には、主に目視調査・打診調査・赤外線調査があります。また、高所の外壁を撮影する手段として、可視カメラや赤外線カメラを搭載したドローンが使用されることもあります。

それぞれの方法で確認できる劣化や調査精度、必要となる仮設設備が異なります。建物の高さや形状、外壁の仕上げ材、調査範囲などを確認したうえで、適切な方法を選定することが重要です。

目視調査

目視調査

目視調査は、調査員が外壁を直接確認するほか、双眼鏡、望遠カメラ、ドローンなどを使用して外壁の状態を確認する方法です。ひび割れ、欠損、剥落、鉄筋露出、錆水、白華、塗膜の剥がれ、シーリング材の劣化など、外観に現れている劣化を確認します。

手の届く範囲を調査する場合は、ひび割れ幅をクラックスケールで測定したり、欠損部の状態を近くから確認したりできます。調査で確認した劣化は写真に記録し、建物の立面図などに発生位置・種類・範囲・数量を記載します。

一方、目視調査で確認できるのは、基本的に外壁表面に変化が現れている劣化です。タイルやモルタルの内部に浮きが発生していても、表面にひび割れやふくれが現れていない場合は、目視だけでは確認できないことがあります。また、撮影距離や角度、照明条件によっては、細いひび割れや小さな欠損を判別しにくい場合があります。

打診調査

労働安全衛生法第539条に準拠し2本のロープで高所作業を行う調査員

打診調査は、打診棒などで外壁表面を叩き、健全部と劣化部の打音の違いからタイルやモルタルの浮きを確認する方法です。調査員が外壁に直接接触して確認するため、浮きの発生位置や範囲を特定できます。

調査では、外壁を打診しながら、音質や反響の違いを確認します。浮きが疑われる箇所はチョークなどでマーキングし、その形状や範囲を計測して図面に記録します。同時に目視調査を行い、ひび割れ、欠損、錆水、白華などが周囲に発生していないかも確認します。

地上やバルコニーなど、手の届く範囲であれば比較的容易に実施できますが、高所の外壁を全面的に打診する場合は、足場、ゴンドラ、高所作業車、ロープアクセスなどが必要です。そのため、建物の規模や形状によっては、仮設費用や調査期間が大きくなることがあります。

また、タイルの形状や目地の深さ、下地の構成、外壁の厚さ、周囲の騒音などによって打音が変化します。調査員の経験による判断も必要となるため、単純に音の高低だけで浮きの有無を決めるのではなく、周辺の打音と比較しながら判定します。

赤外線調査・ドローン調査

赤外線調査は、外壁表面の温度分布を撮影し、タイルやモルタルの浮きが疑われる範囲を抽出する方法です。浮きによって接着部分に空気層が生じると、健全部とは熱の伝わり方が異なり、その違いが表面温度に現れる場合があります。

外壁に直接触れずに広い範囲を撮影できるため、足場などの仮設設備を減らせることが特徴です。一方、日射、気温、風、影、外壁の汚れや補修跡なども表面温度に影響します。そのため、赤外線画像だけで浮きを断定せず、可視画像や撮影条件を含めて総合的に判定します。

ドローンは、可視カメラや赤外線カメラを高所まで運ぶための撮影手段です。地上から撮影しにくい外壁を効率よく確認できますが、建物周辺の飛行環境や撮影距離などを考慮し、必要に応じて地上撮影や打診調査を組み合わせます。

外壁診断の費用相場

外壁診断の費用は、調査方法や外壁面積、建物の高さ、報告書の内容などによって異なります。一般的な費用の目安は、次のとおりです。

調査方法費用の目安
地上からの目視調査数万円~
打診調査約250~500円/㎡+仮設費
赤外線調査・ドローン調査約150~450円/㎡

打診調査では、足場、ゴンドラ、高所作業車、ロープアクセスなどの方法によって費用が大きく変わります。赤外線調査は仮設設備を減らせる場合がありますが、ドローンの飛行申請や安全管理、赤外線画像の解析などに費用がかかります。

また、調査面積が小さい場合でも、現地までの移動、機材の準備、撮影、解析、報告書作成などの工程が必要になるため、最低料金が設定されていることがあります。見積を比較する際は、調査費用だけでなく、損傷図・劣化数量表・写真台帳などが含まれているかを確認することが重要です。

詳しい単価や費用の内訳は、外壁調査の費用相場と見積の考え方で解説しています。

外壁診断を実施する時期

建築基準法第12条に基づく定期報告の対象建築物では、タイル、石貼り等(乾式工法を除く)、モルタルなどの外壁について、おおむね6か月から3年以内に一度、手の届く範囲の打診等を実施します。

これに加えて、おおむね10年に一度、外壁材の落下によって歩行者等に危害を与えるおそれがある部分について、全面打診等による外壁調査を行うこととされています。具体的には、竣工、外壁改修または前回の全面打診等から10年を超えて最初の定期調査が、全面打診等を実施する時期の目安となります。

建物の維持保全を目的とした約10年ごとの外壁診断と、第12条に基づく全面打診等は、実施時期が重なる場合があります。マニュアルでは、建築仕上診断技術者が直近3年以内に実施した外壁診断の結果を、特定建築物の定期報告に引用して報告できるとされています。

全面打診等には、テストハンマーによる打診のほか、テストハンマーによる打診と同等以上の精度を有する赤外線調査も含まれます。これには、地上から実施する赤外線調査だけでなく、ドローンによる赤外線外壁調査も含まれます。

赤外線調査を第12条の全面打診等として実施する場合は、国土交通省の「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」に基づき、建物条件や撮影条件を確認したうえで調査する必要があります。

定期報告制度における外壁のタイル等の調査について

外壁診断はどこに依頼する?

外壁診断は、タイルやモルタルの浮き、ひび割れ、欠損などを確認し、外壁材の剥落防止や補修計画の作成に必要な情報を得るために行います。

調査方法には目視調査・打診調査・赤外線調査があり、それぞれ確認できる劣化や必要となる仮設設備が異なります。建物の高さや形状、外壁材、調査目的に応じて、適切な方法を選定することが重要です。

株式会社ドローンメイトでは、ドローンによる赤外線・目視調査から、ロープアクセスによる打診調査、損傷図・劣化数量表・画像台帳の作成まで一貫して対応しています。建物名・住所・立面図などをお送りいただければ、調査方法のご提案と概算見積もりを作成します。

外壁の劣化や調査方法についてお困りの場合は、外壁調査の無料見積もり・ご相談からお問い合わせください。

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