ドローン赤外線調査に免許は必要?安全・高精度のために必用な資格を解説

ドローンによる赤外線外壁調査は、建物の安全性を確保するための新たな手法として注目されています。この調査法を安全にそして劣化検出精度を担保するには専門的な知識がかかせません。

ドローンを安全に飛行させるためには、国土交通省が発行する「無人航空機操縦者証明書」、赤外線カメラで良好なデータを撮影し解析する赤外線の専門資格が必要です。

この記事では、外壁調査事業を展開している『ドローンメイト』が、ドローン外壁調査について必要な資格について解説します。

目次

ドローンの国家資格「無人航空機操縦者技能証明」

ドローンの国家資格は外壁調査に必須?

日本ではこれまで様々な民間資格がありましたが、2022年12月より国家資格である「無人航空機の操縦者技能証明制度」が開始されました。

現在は、車の免許のようにドローンの国家資格がないと操縦できないというわけではありませんが、今後はドローンを飛行させるためには必ず必要になる可能性もあります。

ドローンによる赤外線外壁調査で最も重要なのは安全面です。外壁調査は建物の近くを飛行させ、隣接建物の状況によっては、建物から3m離れた箇所から撮影を行います。

しかも街には電線が張り巡っていて、歩行者も多いため安全対策や法的知識は必須です。

ドローン赤外線調査の依頼者は多くの場合、設計事務所や管理会社、理事会、所有者です。調査する施設は利用者もいますし、分譲マンションなら住居者の生涯の住まいであり大切な資産です。

当然ですが調査を依頼する設計事務所や管理会社の方は安全性を求めます。

このような観点から、産業用ドローンで外壁調査を行うのであれば、ドローンを練習して、法律を学び、国家資格を取得して行う必要があると考えます。

弊社では、ドローンの国家資格を取得したオペレーターが飛行計画や操縦を担当します。

ドローン国家資格の難易度は?

ドローンの国家資格を取得するためには、ドローンスクールなどの教習所に通って取得する方法と一発試験の2つの方法があります。

一発試験は、試験と同じ環境で練習ができず、試験用と同じドローンでないと操作感も全く別物のため、一発勝負の要素が強いです。

難易度が高く十分な対策をせずに受けると二等でも普通に落ちます。(経験豊富でも口述の対策しないとまず落ちる)

費用は一発試験の方が安いですが、試験に落ちると受験料に加えて練習費用もかかり、精神的にもつらいです。(実は1回落ちました)

ドローンスクールの国家資格の取得にかかる費用は当初に比べてかなり下がってきているので、今から資格を取得するならドローンスクールが無難だと思います。

個人的には、卒業後も野外の練習場が借りれるドローンスクールが良いと思います。

赤外線の公的な資格

現在、赤外線に関する国家資格は存在しませんので、この項目では入札案件で赤外線外壁調査の際に求められる資格を紹介します。

  • 赤外線建物診断技能師
  • JAIRA赤外線サーモグラファー

赤外線の技術は難易度が高く、資格を取得したからといってすぐに業務を始められるわけではありません。

資格取得後も赤外線について勉強し、試験的な実証検証を重ねて、やっと赤外線調査ができるようになります。

赤外線法は、とにかく情熱が必要な分野で、より精度を追求する姿勢が必要です。

筆者の場合、朝8時から夜8時まで30分刻みで各面を撮影し、どの時間帯が最も良好なデータが撮影できるかを検証したり、赤外線画像を解析後に気になる場所をちょっと打診で確認するだけのために、車で2時間かけて現場に確認しに行ったりしたこともありました。

赤外線法はとにかく情熱が必要な分野なので、自分の赤外線技術に奢らず、常に検証してデータを蓄積していく姿勢が必要です。

赤外線法についてはこちらで詳しく解説しています。

赤外線建物診断技能師

赤外線建物診断技能師は、2010年に設立された厚生省認定団体「一般社団法人街と暮らしの環境再生機構(TERS)」が発行する赤外線の公的な資格です。

ドローン外壁調査を行う業者もこの資格を取得している方が多く、入札案件の仕様書で条件として求められる資格でもあります。

ただ、この資格は赤外線の基礎を学ぶ資格であり、その次の赤外線建物診断技術ステップアップ研修を受けて、赤外線外壁調査の基礎の知識がつくという流れです。

しかし、ステップアップ研修でも全てを学べるわけでなく、会員になって調査を行いながら分からないことを質問しながら学ぶ必要があります。(赤外線を追及する人の質問には技術者として丁寧に解説してくれる雰囲気です)

自分から論文読んで勉強したり、検証を積み重ねて赤外線技術を磨いてねということだと思います。

JAIRA赤外線サーモグラファー

JAIRA赤外線サーモグラファーは「一般社団法人 日本赤外線劣化診断技術普及協会(JAIRA)」が発行する赤外線の資格です。

この資格を取得することで赤外線の調査方法を一定の手順で行う「JAIRA法」の運用が許諾されます。調査方法が体系化されているため一定の水準を担保できるのが大きな特徴です。

ステップ1が赤外線建物診断師の資格、ステップ2がステップアップ講習に相当する資格です。

ただしステップ2を受講するためには、ステップ1の修了と赤外線調査実務80時間以上の経験(もしくはプレステップ2受光)が必要です。

ドローン赤外線外壁調査の資格についてのよくある質問

ドローン赤外線調査を行う上で建築士の資格は必要ではないですか?

定期報告の際は一級建築士・二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者の報告が必要です。

建物を赤外線で調査するだけであれば資格は不要ですが、施工の時期や構造的に問題がある箇所の診断は建築士との連携が必須と考えています。弊社では構造設計の一級建築士とチームを組み調査を行います。

ドローン業者の講習は

ドローン赤外線業者はそれぞれ独自の撮影方法を確立しているため、学べることは多いと思います。

ただし、ドローン外壁調査業者は赤外線の専門家でない場合が多いため、赤外線の専門機関の講習を受けるのは必須であると思います。

ドローン赤外線外壁調査に必要な資格

ドローン赤外線調査は、少人数で短期間で効率よく調査が可能なため、今後少しずつ需要は増えていくと思われます。

ドローンに関する法律や規制が厳格化される中、資格を持つことで法令遵守が求められる場面での信頼性が確保され、企業や顧客からの信頼を得ることができます。

また、赤外線調査で精度を出すためには知識と経験が必要なため、基礎知識を身に着けるためという意味でも資格の取得は大切です。

ドローン外壁調査における資格の取得は、技術的なスキルの証明に加え、法的・倫理的な責任を果たしつつ、調査業務の質を向上させるための重要なステップであると言えます。

この分野での発展を目指す人々にとって、資格取得は欠かせない要素となっており、今後ますますその重要性が増すことが予想されます。

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